蚊、子供、話し声がうるさくて眠れないし、列車もかなり揺れる。
ジョグジャカルタからバンドゥンまで8時間ほどの移動となり、夜行列車なので寝なければ翌日の体力が持たない。
12月27日 PM9:00 列車内
私の席は2列シートの向かい合うタイプ。
3人家族に囲まれ、向かいはお母さんと女の子、左隣はお父さんだ。
女の子は5歳くらいだろうか。
お父さんが私に話しかけてくる。
父『どこへ行くんだい?』
『グヌンパダン遺跡です』
父『おぉーグヌンパダンかい』
ようやくグヌンパダン遺跡を知っている人と出会えた。
父『グヌンパダンへはハイキングかい?』
『いや、ピラミッドの観光です』
父『そうかい。しかし、日本からとは珍しいね〜』
母『これ食べる?』
お母さんが作ったと思われる弁当の中身のチキンを私にくれた。
『美味い!サイコー!』
そうだ、私もお返しをあげなくちゃ。
ワサビ豆、、、はダメか。
そうだ、日本からグミを持って来たんだ。
私はお礼として、グミを女の子にあげた。
ちゃんとUSBもリクライニングもトイレもついて、3000円程度なので申し分ない。
昨日泊まったホテルよりも綺麗で快適かもしれない。
夜行列車ということで、またホテル代が浮いた。
家族は寝て、私は読書をした。
真の実在とは何であるか。主観と客観をいかに統一するか。精神と物質をいかに統一するか。
西田哲学の出発点となった本だ。
しかし、お父さん、私の肩に頭を置いて眠るのはやめてくれないか。と気になって気になって仕方がなかった。
寝たり覚めたりしてなんだかんだでバンドゥン駅に着いた。
うー、案の定、寝不足だ。
12月28日 AM4:00頃 バンドゥン駅到着
しかし、バンドゥンは寒い。
土砂降りだし、雨宿りをせざるを得なかったので、あったかいコーヒーを飲みながら雨が止むまで待った。
しかし、この後はドコヘ向かおうか。
チアンジュール、スカブミ、ボゴールのどれかになるのだが、決め切れる要素がない。
こうなったらサイコロだ。
目の前を、男性が横切ったらスカブミ、女性が横切ったらチアンジュール、1分間で誰も横切らなければボゴールという自分ルールで決めよう。
よーい、スタート!
「スター」くらいで右から男が手を上げて、車へと向かっているところを私の目が捉えた。
「ート」男は完全に私の目の前を横切ったため、スカブミで確定となった。
スカブミへは電車かバスになるそうだが、電車だと乗り換えないといけないっぽいのでバスで行くことにした。
雨も止んだことなので、周辺を散歩して様子を見ることにした。
するとgojekの溜まり場があったので、gojek運転手の情報を得ることにした。
『スカブミへ行くにはどうしたらいい?』
すると、図体のデカい男がのそ〜っと立ち上がり、『案内するぜ』と言ってきた。
男『俺はスカブミ出身なんだ。バスで行くのが良いからバスターミナルまで送ってやるよ』
『ありがとう』
そう言って男のバイクの後ろに乗り、バスターミナルへ向かった。
男『ところで、なんで日本人がスカブミに?』
『グヌンパダン遺跡に行きたいんだ』
男『おぉ〜、そこで小さい頃良く遊んだよ』
『本当か?行き方がわからないんだ』
男『スカブミまで行けば間違いないさ。スカブミからはgojekで行くと良いよ』
『OK』
男『ハットルヌフーンて知ってるか?』
『わからない』
男『グヌンパダン遺跡はスンダ民族が管理してるんだ。スンダ語で、ありがとうをハットルヌフーンって言うんだよ』
『おー、ハットルヌフーン!』
男『そうだ、それさえ言えれば舐められずに済むよ』
『おー、ありがとう』
12月28日 AM6:00頃 バンドゥンバスターミナル到着
バスターミナルに到着すると、私は10万ルピアを上げた。
男『いや、こんなには受け取れないよ』
『いや、いいんだ、君の案内は評価すべきだ』
男『OK、ちょっと待ってて』
男はバス乗り場の中へ入り、バスを一通り見て、一つのバスの運転手と何やら話した。
男『こっちに来て。これがスカブミまでのバスだよ。スカブミが終点だからわかりやすいよ』
『ハットルヌフーン!』
男は嬉しそうな笑顔で、日本語で『ありがとう』と言ってくれた。
男『だいたい、ここから4時間くらいかかるよ。料金は2万ルピア(200円)』
『やっす!』
恐らく、男が交渉してくれたのだろう。
男『スカブミに着いたら声をかけるように言っておいたから』
『おー、ハットルヌフーン!ベリーマッチ!』
男『じゃあ気をつけてね』
そう言って男と別れた。
12月28日 AM7:00頃 バス出発
高速道路をビュンビュン飛ばし、山道をクネクネと。
山と谷をいくつも超えた。
本当に至る所に街がある。
こんなところに人が住んでるのか?ってとこにも人がたくさん居る。
雨が降り、バスはスリップしながらも進んだ。
知らぬ間にバスは満員となり、立っている人も出てきた。
老人も力強く立っていて、誰かが席を譲る気配はない。
日本の当たり前と、インドネシアの当たり前が交差し、私はどうして良いのかわからなかった。
席を譲ろうか?と、老人に素振りを見せるが、老人は断り、インドネシア語で話してきた。
恐らく、観光客なんだから座っておきなさい。私は慣れてるから大丈夫よ。みたいな事だと受け取った。
しばらくすると、私は人気者になった。
女子高生が声をかけてきて、一緒に写真を撮って欲しいと言うので何度も応じた。
おっさんも便乗してきて、一緒に写真を撮った
正直寝たいんだけどなー、とか思いながらも、なんかみんな楽しそうで巻き込まれた。
チアンジュールに着くと人は一気に減り、ようやく静かになった。
車内にも空席が目立ち、ゆっくりと座ることができ、安心して眠りについた。
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