空の色がオレンジへと変わり、オレンジから赤味がかったころ、ようやくジョグジャカルタバスターミナルへと着いた。
カラッカラのスマホの電池に充電器をぶっ刺して時間を見た。
12月26日 PM5:00 ジョグジャカルタバスターミナル到着
バリ島を出発したのが12月25日の20時だ。
20時間ほどのバス旅だった。
ジョグジャカルタバスターミナルからGojekを利用しジョグジャカルタ駅周辺に移動。
駅周辺でホテルを取り、ホテルに荷物を置いて散歩に出かけた。
マリオボロ通りは人がごった返し、お祭り騒ぎだった。
ウロウロしていると、背の高い男が声をかけてきた
『珍しいな。日本人か?』
『そうだ。』
男『こっちに住んでるのか?』
『いいや、観光だよ』
男『ここの前はどこに居た?』
『バリ島だよ』
男『おおー、そうか。次はどこへ行くんだ?』
『グヌンパダン遺跡さ』
男『は?何それ?』
私は説明をした。
男『そうか、、、ところで女遊びしないか?』
『しないよ』
男『何でだ?男1人なんだろ?女遊びくらいしないと』
『女と金では遊ばない主義なんだ』
男『つまらない人生になっちゃうぜ』
『つまらないヤツが女と金で遊ぶんだよ』
『そんな事よりも腹が減ったんだ。どこか飯行かない?』
男『バカ、俺は仕事中なんだ』
『俺にこうして構ってる間に飯ぐらい食えんだろ。そこの屋台で持ち帰ってココで食えばいいじゃん』
男『それだったら良いぜ』
私は女遊びはしないので、せめて、飯を奢ってやった。
男『おいおいおい、その巻いてるやつは何だ?』
『これはヨーロッパ産さ。』
男『俺にも巻いてくれないか?』
『バカ、これは高いんだ』
男『うちの店のコーヒー奢ってやるからさ』
その男は私たちが座っている向かいのカフェの店員だった。
『だったらカフェの中に移動しようぜ』
私たちはカフェの中へ移動し、コーヒーが出来るまで巻いて待った。
男は火を着け、深く吸い、口と鼻から煙を吐き出し、満足気な表情を浮かべた
コーヒーが運ばれて来た。
『お前、これインスタントやんけ!』
男『バカ、これはインスタントの割に美味いんだよ。飲んでみろ』
甘〜いインドネシアによくある10円程で売られているインスタントコーヒーだ。
ガッカリだ。
『酒は売ってないのか?』
ジャワ島の多くはイスラム教が中心となっているため、酒の販売は一部を除いて禁止されているのでコンビニ、スーパーでは手に入らない。
男『酒なんて売ったらパクられちまうよ。飲みたいのか?』
『ああ、飲みたい』
男『チップくれたら用意してやるぜ』
『インスタントコーヒーでさっき巻いた分の元とったと思うなよ。まだお前はマイナスや』
男『お〜い、そんなこと言うなよ〜』と私の方をパタンと、はたいて笑った
『まぁいい、用意してくれ』
男『OK、じゃあお前のホテルの部屋まで届けるよ。高級ホテルからビールを届けるから安くないぜ?』
『一本500円でいいよ。後は勝手にハネてくれ』
男『OK、gojekで頼むから配達代も合わせて貰うからな』
『OK、3000円でテキトーに用意してくれ』
男『OK、じゃあ待っててくれ』
部屋に戻りくつろいでいると、トントントントントンっとノック音がした。
私は手の中に10万ルピア3枚を細かく折り、握りしめた。
そして、ドアを開けると、さっきの男と、Gojekの運転手が居た。
金を握りしめたその手で、さっきの男とシェイクハンドを交わし、男は私の手の中のルピア全額を器用に取り、男は自分の手の中から、配達員に合計30万ルピアを見られないよう、20万ルピアだけを渡して口笛を吹いて去って行った。
ぬるいビールは疲れた体に突き刺さった。
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