ボロブドゥール寺院の本質へ迫る -アインシュタインが娘に宛てた手紙と照らし合わせて-

インドネシア

これまではボロブドゥール寺院の観光案内、そして寺院建造を行なったとされるシャイレーンドラ朝の謎、そしてシャイレーンドラ朝の信仰宗教である大乗仏教を自分なりに調べてまとめて来ました。

この記事では、「空」とアインシュタインの手紙とボロブドゥール寺院を照らし合わせて、寺院を通して何を得られるかをまとめていきます。


アインシュタインの手紙全文

1980年代の末、有名な天才アインシュタインの娘リーゼルは、父から宛てられた1400通の手紙を、父親の死後20年間は内容を公開しないという指示を添えて、ヘブライ大学に寄付しました。


これはリーゼル・アインシュタイン宛ての手紙の中の1通です。

私が相対性理論を提案したとき、
ごく少数の者しか私を理解しなかったが、
私が人類に伝えるために今明かそうとしているものも、
世界中の誤解と偏見にぶつかるだろう。

必要に応じて何年でも何十年でも、
私が下に説明することを社会が受け容れられるほど進歩するまで、
お前にこの手紙を守ってもらいたい。

現段階では、
科学がその正式な説明を発見していない、
ある極めて強力な力がある。

それは他のすべてを含みかつ支配する力であり、
宇宙で作用しているどんな現象の背後にも存在し、
しかも私たちによってまだ特定されていない。

この宇宙的な力は愛だ。

科学者が宇宙の統一理論を予期したとき、
彼らはこの最も強力な見知らぬ力を忘れた。

愛は光だ。

それは愛を与えかつ受け取る者を啓発する。

愛は引力だ。

なぜならある人々が別の人々に惹きつけられるようにするからだ。

愛は力だ。

なぜならそれは私たちが持つ最善のものを増殖させ、
人類が盲目の身勝手さのなかで絶滅するのを許さないからだ。

愛は展開し、開示する。

愛のために私たちは生き、また死ぬ。

愛は神であり、神は愛だ。

この力はあらゆるものを説明し、生命に意味を与える。

これこそが私たちがあまりにも長く無視してきた変数だ。

それは恐らく、
愛こそが人間が意志で駆動することを学んでいない
宇宙の中の唯一のエネルギーであるため、
私たちが愛を恐れているからだろう。

愛に視認性を与えるため、
私は自分の最も有名な方程式で単純な代用品を作った。

「E = mc2」の代わりに、私たちは次のことを承認する。

世界を癒すエネルギーは、
光速の2乗で増殖する愛によって獲得することができ、
愛には限界がないため、
愛こそが存在する最大の力であるという結論に至った、と。

私たちを裏切る結果に終わった、
宇宙の他の諸力の利用と制御に人類が失敗した今、
私たちが他の種類のエネルギーで自分たちを養うのは急を要する。

もし
私たちが自分たちの種の存続を望むなら
もし
私たちが生命の意味を発見するつもりなら
もし
私たちがこの世界とそこに居住するすべての知覚存在を救いたいのなら
愛こそが唯一のその答えだ。

恐らく私たちにはまだ
この惑星を荒廃させる憎しみと身勝手さと
貪欲を完全に破壊できる強力な装置
愛の爆弾を作る準備はできていない。

しかし、
それぞれの個人は自分のなかに小さな、
しかし強力な愛の発電機をもっており、
そのエネルギーは解放されるのを待っている。

私たちがこの宇宙的エネルギーを
与えかつ受け取ることを学ぶとき、
愛しいリーゼル、私たちは愛がすべてに打ち勝ち、
愛には何もかもすべてを超越する能力があることを確信しているだろう。

なぜなら愛こそが生命の神髄(クイントエッセンス)だからだ。

私は自分のハートの中にあるものを表現できなかったことを
深く悔やんでおり、それが私の全人生を静かに打ちのめしてきた。

恐らく謝罪するには遅すぎるが、
時間は相対的なのだから、
私がお前を愛しており、
お前のお陰で私が究極の答えに到達したことを、
お前に告げる必要があるのだ。

お前の父親
アルベルト・アインシュタイン

・ボロブドゥール(空)と通ずるところ

私が相対性理論を提案したとき、ごく少数の者しか私を理解しなかったが、私が人類に伝えるために今明かそうとしているものも、世界中の誤解と偏見にぶつかるだろう。

まさに寺院、「空」からは理解ができなくて苦しんでいる人たちも大勢いるでしょうし、理解に対する誤解や、宗教に対する偏見だってあるでしょうし、実際にイスラムの過激派が寺院の一部を爆撃しています。

必要に応じて何年でも何十年でも、私が下に説明することを社会が受け容れられるほど進歩するまで、お前にこの手紙を守ってもらいたい。

寺院完成から1200年ほど経ちますが、まだまだ理解には苦しんでいるようです。

それは他のすべてを含みかつ支配する力であり、宇宙で作用しているどんな現象の背後にも存在し、しかも私たちによってまだ特定されていない。

アインシュタインは物理学者ですが、物理学者とは思えない形で比喩的表現を使って宇宙の背景に働いている作用について説明しています。

娘宛てということもあってでしょうが、把握できないものを把握しようとしているようにも伺えます。

つまり、一才の事物事象は言語概念によって把握することを否定するのが「空」なので把握できない世界をアインシュタインは一生懸命伝えようとしているかのように思えます。

この宇宙的な力は愛だ。

前記事でも書いた通り、因果の外側の世界を仏教では「心」とし、物理学(アインシュタイン)は「愛」としているように思えます。

アインシュタインと仏陀は同じ目を持っていたのかもしれません。

愛は光だ
それは愛を与えかつ受け取る者を啓発する。

啓発とは、無知の人を教え導き、その目をひらいて、物事を明らかにさせること。

OxfordLanguages

物理学的に光は粒子性と波動性どちらも併せ持つ理解なので、愛の性質が光と似ていて愛をあえてこの世のもので例えるなら光となったのだろう。

両方の性質を併せ持つ何かが愛を与え、両方の性質に気づけたものが愛を受け取り、啓発されるのであろう。

ボロブドゥール寺院の伝えたいこともこのようなことなのかもしれない。

愛は神であり、神は愛だ。

この宇宙を創造したのが神であるならば、神は因果の外側にいなければならない。

「空」を理解して因果の外側にある世界は愛であり、心である。

この力はあらゆるものを説明し、生命に意味を与える。

つまりは、因果を関係で説明できてしまう世界で、宇宙の創造の仕方、宇宙のレシピがわかり説明ができる。

その世界観が曼荼羅であるのかもしれない。

「E = mc2」の代わりに、私たちは次のことを承認する。

世界を癒すエネルギーは、光速の2乗で増殖する愛によって獲得することができ、愛には限界がないため、愛こそが存在する最大の力であるという結論に至った、と。

人間、限界がない世界を理解、把握することはできるのだろうか。

質量に光速の2乗を掛けた値が、静止した物体のエネルギー量というのが特殊相対性理論。

その特殊相対性理論の代わりとなる数式は導かれていない。

「空」の概念からすれば把握することは不可能なので数式化も不可能。

限界がない、無限を数式に取り入れることは計算不可能なのだが「空」の思想によると数式化は不可能が当然であることを言っている。

しかし、世界を癒すエネルギーは光速の2乗で増殖する愛で限界がない。それはまさに最大の力となるだろう。

読み終えて

アインシュタインですら数式化できず共有もままならない世界ですから比喩的に表現するしかありません。

仏陀もアインシュタインもどう理解し、どう伝えるべきか、頭を悩ませたことでしょう。

抽象的な世界を数式化してしまうと抽象度が薄れ、把握してしまうことになる。

把握してしまうと因果になってしまうので宇宙の根本素材は見つけられなくなってしまう。

私は中学の頃、授業をサボって「自由とは何か?」について考えていましたが、「自由とはコレだ」としてしまったら自由を掴めたけど、掴んでしまったらせっかくの自由が自由度を失うような気がしていました。

しかし、自由は把握できない!としても、「把握できない」ことが把握ではないか。となり意気消沈したのを覚えています。

掴めそうで掴めない、掴もうとすると近づいたり逃げたりするし、放ったらかしたら放ったらかしたでお尻ぺんぺんされているようで。

アインシュタインの手紙全部を噛み砕いた記事を書いてみようと思います。

アインシュタインと会話ができているような気がしてなんだか楽しいです。

・気になった点

科学者が宇宙の統一理論を予期したとき、彼らはこの最も強力な見知らぬ力を忘れた。

一般市民が概念として持つ「力」と物理学者の「力」の概念は全く違うものでしょう。

物理学における力とは、物体の状態を変化させる原因となる作用

Wikipedia

通ずるところで3つ目に取り上げた『それはすべてを含み、かつ支配する力であり、宇宙で作用しているどんな現象の背後にも存在し、しかも私たちによってまだ特定されていない』

つまり、物体の変化させる原因となる作用の原因といったところでしょうか。

しかし、意味深なのが『見知らぬ力を忘れた』とあります。

つまり、最初は覚えていた、知っていたということでしょうか。もしくは元々、そこに居た。

母胎の中にいたときの記憶がないように。。。

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